こんにちは。卒論で喫茶店をテーマにした男、多木曽幹也です。
さて、今回は名古屋の喫茶店の歴史と進歩について、少し考えてみたいと思います。5分くらいで読めますがお硬いテーマの割にそんなに有意義ではないので、ラーメン屋でラーメンを待つ時間とか、朝ごはんのパンが焼き上がるまでとか、そんなタイミングで読んでください。会議前とかテスト前日に読む必要はありません。
名古屋の喫茶店を考えるために、すこし昔のことを調べてみると…
そもそも日本の喫茶店の歴史は、開国前まで遡るようです。
江戸時代
1804年、大田南畝と呼ばれる長崎奉行が初めてコーヒーを飲んだという記録が残っています。しかしその記録によると、
「焦げ臭くして味ふるに堪えず」
と、散々な食レポだったご様子。これがもし現代の食べログだったらこうなります。
なんぽ@長崎奉行 (152)認証済
☀ ★☆☆☆☆ 1.0 ~¥999
南蛮人はおいしいって言うけど…(ヽ´ω`)
1804/09/02お付き合いのある南蛮人に勧められてカウヒィって飲み物を飲んでみました。
みんなおいしいよーとか、貴重なんだよーというけど、まずその見た目にびっくり!ドロみたい。。。
遠国の豆を煎じてお湯を入れたものらしいけど、何じゃそら、って感じ。おそるおそる飲んでみると、なんか焦げたみたいな匂いがするし、めちゃにがい((+_+))
うーん、次はないかな。
でもありがとう、南蛮人。
明治時代
しかし、コーヒー1887年に渋沢栄一という人物がコーヒーについて、『食後カッフヘエーという豆を煎じたる湯を出す、砂糖牛乳を和して之を飲む、頗る胸中を爽にす』と書いており、
これが食べログだったらこうなります。
世界の渋ちゃん(332)認証済
🌛 ★★★★☆ ¥1000~¥1999
新感覚ドリンク!かも
アメリカへの船旅の途中でカッフェーという飲み物をもらいました。
香りものどごしもスッキリなのでみんなに勧めたいと思いました。
ただコップがちょっと汚れていたので、★1つ減点とさせていただきます
この頃にはおいしくコーヒーが飲める日本人がいたことがわかります。
そして、1888年になると、東京・上野に「可否茶館」(かひさかん)と呼ばれる喫茶店がオープンして、喫茶店は流行し始めました。
このように生まれた喫茶店ですが、名古屋に喫茶店ができて、戦前戦後を経ていつの間にか、モーニングという名古屋名物になっていました。
名古屋モーニングの発祥
さて、話を進めます。
名古屋のモーニング起源説は一宮説と豊橋説があって、どっちが正しいかは判明してないようです。
一宮の説を取り上げて書くと、もともと一宮は機織りが盛んで、戦後間もない頃になると、機織りの機械が「ガチャン」と動くごとに1万円が儲かる、というところから「ガチャマン景気」と呼ばれる時代が訪れます。
とうぜん工場ではガチャンガチャンと機械の音がうるさいので、商談に来た人と工場の人とで会議をするときは喫茶店に行ったそう。そこで気を効かせた喫茶店の店員が、コーヒーにピーナッツをおまけで出した。これが名古屋のモーニング発祥だ、と言われております。
そして、それを見た他の喫茶店の店主が、
「それじゃあ、うちはトーストをつけよう」
と言いました。
そして、それを見た他の喫茶店の店主が、
「それじゃあ、うちはトーストにゆで卵をつけよう」
と言いました。
そして、それを見た他の喫茶店の店主が、
「それじゃあ、うちはトーストにゆで卵とサラダをつけよう」
と言いました。
そして…
まあ、キリがないわけです。
コーヒー代だけでお菓子も食べられる、そんなお値打ち感が響いたのか、近くの店舗ではピーナッツの代わりにトーストを出し、他の店ではゆでたまごをつけて、あるいはサラダを付けて…そうやってだんだんといまのモーニングが出来上がってきた、というのです。
モーニングにみる名古屋人気質とは。
名古屋人はケチだと言われますが、ステロタイプなケチである「典型的な大阪のオバちゃん」と違って、値札しか見ていないわけじゃないんです。
実際、名古屋の喫茶店ではコーヒー一杯で300円台後半~500円と、ドトールやコンビニなんかと比べて安いわけではありません。しかし代わりに朝食、あるいはお菓子が付き、どれほどゆっくりしても大丈夫。雑誌を読んでタバコでも吸って、あるいは仕事の話をして…
価格以上の価値を見い出せば、きちんと財布を開きます。要は「値打ちがあるか」なわけです。
そんなナゴヤ人大好きな「お値打ち」が感じられるモーニング文化。
それを感じられる、名古屋市内のお店をいくつか紹介します。
おすすめ①名古屋の朝はここからはじまる。「コンパル」
名古屋市内にいくつかある喫茶店「コンパル」。サンドイッチで有名なお店ですがモーニングもやっています。
特徴はアイスコーヒー。一般的にアイスコーヒーというものは味わいが損なわれがち、なんて言われ、コーヒー愛好家は真夏でもホットコーヒーを頼みがちですが、コンパルはこの「アイスコーヒーは味わいが落ちる」という課題を新技で解決しています。
モーニングでアイスコーヒーを頼むと、なんと出てくるのはホットコーヒー。「おばちゃん、ぼかあアイスコーヒー頼んだの!」と怒ろうとすると次に運ばれてくるのはコップ一杯にアイスが詰まったグラス。どうやらホットコーヒーをグラスにぶちこんで冷やして飲んで、とのこと。
たしかにこうすれば味わい深いコーヒーを冷やして飲める…のかもしれませんが、効能のほどは謎です。
おすすめ②お昼にナゴヤ着。それでもモーニングはできます。「リヨン」
モーニング文化の成れの果てを見たい人はリヨンがおすすめ。名古屋駅から地下街を徒歩10分弱、モード学園のほど近くにあるこの喫茶店の入り口には堂々と「終日モーニング」という黄色い看板があります。
そう、ここは営業時間中、いつでもモーニング。昼でもモーニング、夜でもモーニング。わけわかりませんね。
とはいえ、名駅から近く、ほかの土地から来た人に「コーヒーを頼むといろいろついてくるってこういうことかぁ!」とわかってもらいやすいので、名古屋観光、グルメ旅と来たら外せない店だったりします。
おすすめ③朝の果実は金。「トップフルーツ八百文」
最後に名古屋の中心を少し離れて、桜通線で桜山駅までいったところにあるお店、トップフルーツ八百文(やおぶん)をご紹介。ここは普通の果物屋なのですが、なんと店の一部に机が並べられており、ここでモーニングを味わう事ができます。
値段は700円代がほとんどで普通のモーニングと比べてちょっと高いのですが、ひとたびモーニングを注文すると、その値段をはるかに上回る大ボリュームのフルーツたちが攻め込んできます。
まずフルーツ盛り盛りのプレートが運ばれてきます。色とりどりの果物と、ジャムたっぷりのトースト。たしかにこれとコーヒーならたしかにお値打ちだなあなんて思いながら果物を賞味していると、
突如コップがドンと置かれます。
コップはマックのLサイズドリンクを超える大きさ。
そこにはスムージーになった果物。
満腹です。もはやフードファイト。これほど果物をたっぷり食べられる店もなかなかないでしょう。
敵は正面のプレートだけかと思いきや、背後からスムージという別働隊が攻めてきておったわ、うぬぬ、やりおるわ上杉謙信、と、一人で勝手に武田信玄にでもなった気がするモーニングでした。
いかがでしょうか。興味、持っていただけましたか?
名古屋にはここ以外にも悪名高き「マウンテン」や、宙を舞うカフェオレ「ツヅキ」などいろいろなカフェがあるので、みなさんもぜひ名古屋を訪れた際は目についた喫茶店に飛び込んでみてください。