富士通「Arrows」の歴史。2014年以外ほぼゴミなのになぜ今も続いているのか?

富士通「Arrows」の歴史。2014年以外ほぼゴミなのになぜ今も続いているのか?

アアアッレグザフォン使ってる人がいるウウゥウウwwwwこの人は購入前から情弱フッフゥウウwwwwwこんな糞端末買わなくてよかったァアwwwwwwwwwwwwww

そんな名言も今は昔。カドの取れたアローズがすごく地道に頑張っているのを、画面越しにいつも見守っていました。

ボロボロの初期アローズ

時は2011年、「日本のテクノロジーが作ったハイスペックスマホだぞ!」と鳴り物入りで発売されたアローズたち。

すぐに、ネットでボッコボコにされました。

それが冒頭の「レグザフォン」のコピペ。レグザって東芝ですが、当時は富士通と東芝でタッグを組んでスマホの開発を行っており、中心は富士通でした。これがドのつくほどポンコツ。

またアップデートも配信されないことが多く、F-12Cではイギリスのブランドとコラボし「いつまでも使いつづけたい100年ケータイ」というコンセプトのモデルを発売するも、Android4.0へのアップデートが見送られわずか1年弱で色褪せるという、コンセプトの100分の1さえ実現できないようなスマホを次々発売。てか12Cって1年に何機種出しているんだよ。このように社を挙げてギャグを繰り出すという、買わないほうが快適で楽しいエンタメスマートフォンブランドに成り果ててゆきました。

特に、女性をターゲットにしていた「アローズキス」モデルは、目も当てられないような出来栄えで、よくこんなんで発売しようと思ったな、と、どこか他人事のように感じていました。アローズキスF-03DはROMが1GB。RAMではありません。ROMです。ストレージです。これがたったの1GB。しかもそこにオリジナルのデコアプリとか余計なシステムが混ざり合い、自由に使えるのは200メガバイト程度だったと言われています。

さらに雑誌とコラボしたガールズモデルを追加で発売するなど、多くのドコモユーザーを罠にしかけ、パワーで追い払うということをしておりました。なむさん。

ドコモショップのオペレーションにおいても、操作案内や修理案内など、富士通ユーザーにかなりのリソースを割いていた時期がたしかにあり、当時ドコモショップのマネージャーをやっていました、という皆様方はきっと富士通に並々ならぬヘイトをお持ちのことかと存じます。

何が起きた。急に良くなったアローズ

しかし。

13年夏、アローズに異変が起きました。

発売されたアローズが、なんとちゃんとした出来だったのです。

原因は意外と明確で、それまで他社は使ってこなかったエヌビディア社製「Tegra」というCPUを、アローズだけは頑なに採用し続けていたのです。

このTegra、ゲームパフォーマンスはたしかに良く、ニンテンドースイッチにもTegraをチューニングしたエヌビディアCPUが採用されています。

しかし普段遣いのスマホとは相性があまりよくありませんでした。使っているうちに熱くなり、カメラ周りは持てないほどになり、カクツキが生まれ、電話も受けられず、あれよ、と言う間に電池切れ。

そんな富士通がとうとう、クアルコムのCPU「Snapdragon」に切り替えたのです。

すると、ちょっと熱いかな?程度の発熱で済むようになり、当時としては先進的だった64GBストレージや5.2インチディスプレイが、晴れてスマホのヘビーユーザーに評価されるようになりました。

とはいえ、「ええ?あの富士通が使いやすい?そんなわけねえじゃん!」と、世間は冷たかった。でも富士通は頑張りましたよ。その次に発売したF-01Fはオリコンのスマホ満足度ランキングで上位に入賞し、電池持ちや画面の明るさにも文句はなく、普通に「使いやすい」モデルになっていました。

14年夏、アローズが突然変異を起こしました。

隠れた神機(だと自分は信じている)、F-05Fが登場したのです。前の機種からカドがとれ、ソニー製「ホワイトマジック液晶」をさらにブラッシュアップした形で搭載。さらにジャストシステムと共同開発した文字入力システムの「スーパーエイトックウルティアス」を搭載。仕組みは謎ですが文脈を逐一判断して予測変換を行うことが出来るようになり、「京大の兄弟は強大」というワードもすんなり変換可能でした。

このほかにキャプメモやなぞってコピーなどの便利機能を搭載した上で、タッチパネルの感度を向上、サクサクと非常に心地よい利用ができました。更に電池もよく持つ。不満なし。神。そんなやつだったのです。比較的高かったのが玉にキズでしたが。

14年冬、アローズは光り輝いていました。

夏モデルでネックだった「値段」。これがガラケーからの乗り換えで実質0円という、破格の値段でF-02G、つまり最新モデルが提供されました。しかも本体は、前機種から多少はゴツくなったものの概ねそのスペックを踏襲。さらに有機ELディスプレイを搭載し、色鮮やかさもアップしました。

この機種、あまりに出来が良すぎたので、私は自分の父に買わせました。今でこそ買い替えましたが、F-02Gのおかげてウチの父親はラインを覚え電子書籍を楽しみ、まわりの同年代のおっちゃんにスマホの軽いアドバイスをするなど、人生に活力を与えてくれた一台でした。

そんな素晴らしい、輝かしいアローズ。もしかしたら、もしかしたらだけど、このままドコモのイチオシブランドに…

なりませんでした。

没落したアローズ

15年。アローズの瞳から光が消えていました。

新たに虹彩認証システムや「トランスジェット」という高速データ送受信機能を搭載し、さらなる飛躍を目指したのだと思われますが、ここへきて最新のSoC「Snapdragon810」が超がつくほどの駄作で、フラッグシップモデルが軒並み「鬼のように熱い」スマホとなりました。

富士通にとって、熱いスマホを作るのは得意分野です。XperiaZ4が熱いと批判される中で、アローズF-04Gは猛火のごとく発熱し、灼熱のごとく燃え盛る、チンチコチンスマホとして、店の片隅のなるべく人目に触れない場所にこっそり展示されるようになりました。

次のF-02Hで多少は盛り返しますが、ここから富士通の地味化が一気に加速。機能自体はいいし、国産パーツ多め、堅牢、エクスライダー機能、と良い線をいくのですが、この時期からもはや他社のフラッグシップモデルもじゃんじゃか売れることはなく、スマホ業界全体がコモディティ化してしまっておりました。

16年からははミドルクラス機種を中心として、アローズSV~Be3がドコモから、あるいはF04HなどSIMフリーモデルが発売。手頃な価格で、可もなく不可もなく、堅牢な作りという部分が評価され、特に法人向けには一定の成果をあげていた様子でした。

しかし18年初頭には、ポラリスという投資ファンドにブランドを売却。いまでも運営は続いていますが、純粋な富士通製というよりはいくばくかの他社の金が入っている、第三セクタースマホ(?)として販売されています。

良いものは作ってたアローズ

栄枯盛衰の一方で、タブレットは「アローズタブ F-03G」「F-04H」など比較的安定していい機種を生み出していた他、らくらくスマートフォンはシニアに大好評で、ドコモの「金をもっている老人にスマホユーザーとなってもらう」作戦、題してKMRSN(木村さん)作戦においては成果を上げました。いや、そんな作戦ないんだけど。

とはいえ、ガラケーをとっとと店じまいしたかったドコモと、高齢者から信頼を寄せる富士通というコンビはなかなかよかったようで、らくらくスマートフォンに関してはいまでも「らくらくスマートフォンme」という機種がなかなかの売れ筋なご様子。よかったね。

販売戦略という意味では、早々にブランドを毀損してしまったという反省もあってか、ソニーやシャープが中々できなかった「選択と集中」(フラッグシップモデルはサムスンやらソニーやらに任せて、自社は法人や高齢者に向けて確実なモデルを作ろう)というマーケティングを早いうちから行っていたことが、現在につながっている大きな要素でしょう。

自分が今後、富士通のスマホを買うことはきっとないんだろうけど(ごめんなさい)、スマホにこだわらない人に「頑丈で安心なスマホはどれかしら」と聞かれたら、迷わず「富士通!」とおすすめできるモデル。ある意味でアローズシリーズは、境地に達していると言えます。

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