みなさんは「中銀カプセルタワービル」をご存知ですか。
ちょっと前のこのブログでも取り上げたことがあるのですが、1972年に完成した「メタボリズム建築」の代表格です。
自分が大好きな建物の一つです。
この記事では、その中銀カプセルタワービルの特徴をまとめます。
「カプセルホテル」の原型
このカプセルタワービルはもともと、黒川紀章が設計した「メタボリズム建築」の一つです。
メタボリズム建築の意味がわからず、私は20分くらいウィキペディアをウロウロしていましたが、要するに「新陳代謝をする建物」「街の変化に合わせて建物自体も変化する建物」という認識のようです。
取り外して交換できるという壮大な設計
このため、中銀カプセルタワービルは構造がユニーク。一本のしっかりした柱の周囲に、数多くのカプセルが取り付けられている…という構造になっています。カプセルの一つ一つが部屋になっており、ここに住むことができる仕組み。
サイズは生活のための最低限サイズで、江戸時代の庶民の住処だった「長屋」のほうが広く感じるレベル。それでもトイレとお風呂、そして電話やラジオや時計…一式がカプセルの中に詰め込まれていました。
残念なビルなのに、人を魅了してやまない
このビルは、実物を見ずに言葉だけで伝えると、とても残念な建物に聞こえます。
「建物全体の設備の経年劣化でお湯も出ずシャワーも使えない」
「インターネット回線がない、引けない」
「エアコンの室外機を設置するのが難しい」
「取り壊しの危機に瀕している」ーーーー。
そんな状況なのに、保存と再生を求める声が根強くあります。
今現在も定期的に行われる内部見学会や、各種メディアへの露出、そしてリノベーション。
特にメディアに関しては、国内でもマイナビニュースやヤフーニュース、日経などのニュースサイトでも取り上げられているのですが、海外ではもっと有名で、ナショナルジオグラフィックなどのメデイアに加えてアパレルブランドなどの撮影場所として人気なんだとか。
それだけ、「世界にここしかない空間」ということなんでしょう。
住める
実はこのカプセルタワー、滅多に立ち入ることもできない建物だったのですが、なんとマンスリーマンションとして借りて住むことができるようになったのです。しかも、海外の建築家によるリノベーションを経て。
本来のカプセルタワービルは半世紀近く前のもので、もう使えない固定電話やオープンリールのテープレコーダー、ぱたぱた式の時計などが備え付けられていますが、50年の時代を経てすべてスマホがこの仕事を代行するようになりました。
そんなわけでIOTを導入し、室内照明やエアコンをスマホから操作できるほか、Bluetoothスピーカーにスマホを接続して音楽を再生できます。
そして中銀カプセルタワービルのアイデンティティーでもある丸窓。リノベーションを経て、なんということでしょう、この部分が座り心地のいいソファベッドに生まれ変わったではありませんか。
窓向かいのビルが邪魔とはいえ、しっかりソファーに腰掛けると東京汐留のビルたちと首都高速が彩る夜景にうっとり。しかもこのソファベッド部分にもBluetoothスピーカーが取り付けられているため、ゆったり音楽を聞きながら夜景を眺め、あっかたいコーヒーを飲みながら過ごす…といったことも可能です。
リノベーションで生まれ変わったカプセルタワービル。世界中の人々を魅了するこの建物も、時代の流れに沿って変わっていきます。その姿はある意味で、メタボリズム建築らしいと言えます。
住んでみたい…!春の新生活を前にそんな思いを持っている方はこちらから、夢を叶えてください。
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