「売れてほしくない」2代目SE成功の裏で隠し切れない「X」シリーズの失敗

「売れてほしくない」2代目SE成功の裏で隠し切れない「X」シリーズの失敗

Appleが目指す高機能・高付加価値路線が、身内のSE(2020モデル)によって砕かれようとしています。
きっとAppleは「SE、大好評!!」と、なってほしくないはず。

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消費者が求めてたのは「すごいスマホ」じゃなく「手頃なiPhone」だった

iPhoneSE2(以降、2代目iPhoneSEに)がオンライン上で発売開始となり、早くも多くのレビューがアップされています。
ブログ然りウェブマガジンしかり、YouTubeしかり。

詳細なレビューはそちらの数多くの皆さんにおまかせします!
が、こうしたレビューを要約すると「性能上がったiPhone8」になります。

怖いのは、「2代目iPhoneSEが大人気!」の裏を返せば、「消費者が求めていたのはiPhoneXシリーズなんかではない」ということになる、ということ。

つまり「超広角、広角、望遠をそろえた新しいトリプルカメラシステム。ナイトモード。Super Retina XDR。A13 Bionic。最大5時間長くなったバッテリー駆動時間。」
こんなものは大して重要ではなく、

「Super Retina XDRディスプレイは新しい最高レベルの輝度を1つではなく2つ持ち、それらをいつ使うべきか検知します。日光の下では最大800ニト。これは屋外で撮影し、その場で写真を選ぶのに最適です。Extreme Dynamic Rangeのコンテンツを見る時には最大1,200ニトまで輝度が上がります。まるでPro Display XDRがiPhoneの上にやって来たようです。」
こうしたものも別にどうでもよく、

「Face IDが最大30パーセント速くなりました。 今までよりも遠くから使えるようになり、認識できる角度も広がりました。そのうえ、今でもスマートフォンの中で最も安全な顔認証です。」
こんなものも、大して求められて無かったのかもしれません。特にコロナが流行ってからは「マスクしたままフェイスIDするのしんどい」というツイートをけっこう見かけます。

今日、買い物したときにも思ったんですが、日常的にマスク着用な時代になった昨今、iPhone使うのが本当に不便。

「マスク顔を認識できないFace ID」マジサイアク。

このご時世、地球上の全スマホ人類がマスクしてそうな勢いなのに頑なに顔認識などに拘ってて大丈夫なんでしょうか、今後のiPhoneは。 pic.twitter.com/Sw41AwMCEX— キシイーヌ (@kishidog) April 22, 2020

独り言😎
最近、マスクしてるからfaceID使えなくて、いちいちパスワード打ち込まなくてはなんないのがめんどくさー😂😂😂
指紋認証も残してくれてればよかったのにー🥺🥺🥺 pic.twitter.com/28WzhP1ssv— ⚾️りんたろお🚴🏽‍♀️ (@shacho12141) April 25, 2020

もちろんマスクつけたままでFACE IDを突破する必要はあるのですが、
それはAppleの言う「スマートフォンの中で最も安全な顔認証」といえるものになるんでしょうか?
うっかり顔の上半分が似た人に悪用されそうで怖いかも。

初代SEとのシチュエーションの違い

もちろんこうした議論は、初代SEが発売された際にも起こりました。
サイズは5s、しかし性能はほぼ6s(当時の最新型)。
だったら、Appleの大型化は失敗だったんじゃないか?と。

しかし結局翌年にSE後継機は発売されず、iPhone7、8とそれまでのデザインを踏襲したiPhoneが出続けました。

今回も、いくら2代目SEが売れようと、デザインを巻き戻すことはないと思いますが…
決定的に、当初といまで違う点があります。

それは、初代SEが「小型版」ポジションだったのに対し、
今回の2代目SEは「廉価版」という位置づけであるということです。

初代は、6sかSEか…と悩む余地がありました。
しかし今回の売れ方は、11や11Proを買えなかった人が「待ってました!」と飛びついた印象です。

昨年までずっと「8」が売れていた

振り返れば去年まで、ずっと国内iPhoneの売れ筋はiPhone8でした。
すくなくとも売れ筋トップ10にはずっと居座っておりましたし、
ときには最新モデルをも凌ぎ、約2年半にわたり、国内スマホのトップだったわけです。

その時期から「iPhoneX路線が万人に受け入れられるものではない」ということはわかっていました。
デザインの大幅変更と、大画面化、指紋認証の廃止。

そしてなにより、高価格化です。

iPhoneの価格推移をまとめたグラフを作りました。価格は税別。
どうだ!いかにも「EXCELで5分でまとめました」といわんばかりのグラフだろう!

ダサさはさておき、Xsまでひたすら高価格化を続け、11で見直した感があります。
ただこれはからくりがあって、Xsまでは最高スペックのフラッグシップモデルだったのに対し、11は上に11Proがいる廉価版をナンバリングモデルに持ってきているんです。

どちらにせよ「高価格化、これ以上は無理!」というAppleのあきらめというか、方針転換が見られます。そして自分もグラフ化して気づきましたが、米国では4から8まで価格変わんなかったんだね。相対的に日本円の価格が落ちているのか、キャリアの中抜きが激しくなったのか。どちらにせよ日本が貧しくなったといわれるわけです。

iPhoneはスマホ界の「軽自動車」なのか

御存知の通り、Appleは時価総額ランキング世界トップクラスのハイブランドで、iPhoneは日本で一番人気のスマートフォンです。

一方で、iPhoneXシリーズの高付加価値路線が暗礁に乗り上げ、11で主力モデルをそれまでのフルスペックモデルから廉価モデルに移行。さらに追い打ちのようにSE2020モデルを発売しました。

時を同じくして日本では、総務省の邪魔…もとい指導により、まずMNPのキャッシュバックに規制が。そして端末割引を月額の通信料金から差し引くことができなくなり、さらに割引額上限が2万円までに制限されました。

総務省を一概に悪役呼ばわりするのは、キャリア各社の利益額や利益率を見ると躊躇してしまうのですが、とはいえ総務省のやったことは消費者にとって不利益でしかありませんでした。

そしてもっとも損害を被ったのは、Appleでした。

日本の料金体系を味方に、iPhoneを激安価格で販売。いや、7あたりまでは実質ゼロが当たり前だったので、配布、といったほうが近いかも知れません。原資は各キャリアの高すぎる通信費。これは一部偏見かもしれませんが、スマホを買い換えない高齢者や、割引額の少ないAndroidユーザーから吸い取った利益で、最新のiPhoneを安く売りさばく構図でした。

これができなくなった途端、iPhoneの売上はダウン。徐々に中国製のAndroidスマホが「格安スマホ」として日本でのシェアを大きくしてきました。ファーウェイとか6、7年前は飛沫候補だったからね。信じらんない。

そしてこうした格安スマホへの流出を防ぐためにAppleが発売したのが「2代目iPhoneSE」だとしたら…
「使いやすいからiPhone」ではなく「安いからiPhone」という選択をしていたことになります。
これはちょうど普通車と軽自動車の構図に似ています。

機能も多く性能も高い、一方でランニングコストもかかるし価格も高いAndroidとiPhoneXシリーズ。割り切った仕様で運転しやすいiPhoneSE。2020年の日本人はどちらを選択するか、しっかり見ていきたいところですね。

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