あれは…2022年12月13日。 冷たい雨の降る日でした。
渋谷・神南一丁目。クリスマス目前の賑やかなショーウィンドウと裏腹に、朝8時の渋谷は静かです。自宅からバスで神南までやってきた私は、マップを見ようとポケットのなかからスマホを取り出そうとした瞬間、違和感を覚えました。
Pixel7の電源ボタンがない
スマホがいつにも増して、すべすべします。不思議に思ってポケットからスマホを取り出すと。「電源ボタン」がなくなっていたんです。
そう何度確認しても「電源ボタン」が取れてなくなっているんです。
ポケットの中にはなし。カバンの中にもなし。地面をキョロキョロと見回しますが、目にとまるものはなし。普段から物をよく無くす性格なのはわかっているんですが、スマホの電源ボタンをなくした経験はさすがになかったので焦りました。
りあえず冷たい雨と冷たい通行人の視線が辛いので、カフェに逃げることに。ホットコーヒーでホッとするのもつかの間、とりあえず状況確認。たしかに電源ボタンはすっかりなくなっていて、ボタンの向こう側がこっそりと覗けました。漆黒の闇の色をしていました。改めてポケットやカバン、靴なんかを探りましたが、出現せず。
この時ほど釈然としない顔をしていた私は、これまで過去になかったんじゃないかと思います。なんせ電源ボタンを失ったスマホは、たった2ヵ月前に買ったばかりの、Google純正・大人気最新モデル「Pixel7」のハズだからです。
購入記事はこちら
いろいろな考えが頭をよぎりました。画面が割れるとか、電池がすぐなくなるとか、そういった不具合なら慣れっこの自分なんですが、まさか7万円出して買ったばかりのスマホで「電源ボタン」が行方不明になられたら焦ります。買って2ヵ月の新車で東名高速を走っていたら、いつの間にかタイヤが取れていたような気分です。
私のスマホと掛けて、卒業式ととく。その心は、人気者のボタンがなくなっているでしょう。
…( ゚д゚)ハッ! こんなことをしている場合ではない!
電源ボタンが取れてもなんとか使えるぞ
とりあえずロック解除は指紋認証センサーでなんとかなるので、画面をロックするアプリだけインストールして、なんとか使える状態に。
ちなみにインストールしたのは「Lock Scleen」というアプリ。画面上のアイコンをタッチするだけで画面を消せます。
仕事の合間、スマホの修理をしてくれるiCrackedの渋谷店に訪問。イケメンの雰囲気がただようお兄さんいわく、「恐れ入りますが外装パーツ全部取り替えになります。費用は41,360円です」。
41360円。
開いた口が塞がらん私。ちょっと前に8万円で買ったスマホの修理に4万円。
当然納得が行かず、またお店も「いくら決まりとは言え、電源ボタンのために4万円ねェ…」という態度だったもので、勧めてもらったGoogleコールセンターに問い合わせをしました。
これがとんだ食わせ物で、15分ほど待たされて電話がつながり、ビジネスライクな兄さんが電話に出てきました。名前とGアカウント名、注文番号を確認して、さらに待つこと15分。
結論「iCrackedに行け」。
さっき行ったよ。勧められて電話掛けてんだよ。自然故障じゃあねえのかよ保証はどうしたんだよ…とゴネてみますが、
「無償の不良対応は購入後15日なんです」。
1年保証はどこ行った。ワシャまだ渋谷におるぞ、本社に殴り込んでやろうかアホンダラという発想が頭をよぎるんですが、こんなことでヤフーニュースに書かれたら恥ずかしいのでなんとか自重しました。
ハードがダメでも、ソフトが良ければ使い続けようと思うものです。自分がXperiaを長く使ってきたのも、本体が壊れやすい代わりにサポートがしっかりしていたから。水没判定があっても無償修理にしてくれたり、Android4.2止まりかと思っていたXperia ZにAndroid4.4を振らせてくれたりといった経験があったからこそ好きなのであって、今回のPixelはハード・ソフトともに「最悪」でした。
ここで自分の脳内に出てきた選択肢は3つ。
1)だましだまし、使う。
2)修理して、使う。
3)買い替える。
1)は、電源ボタンが外れてしまった以上、水やゴミが入ってもっと悪い状態になる可能性があるので避けたい。
2)は、8万円のスマホを4万円かけて修理するのが馬鹿馬鹿しいので避けたい。
3)は、残り10ヵ月の分割払い、占めて7万円くらいが残債として重たいので、避けたい。
とりあえず、なんとかならないか、調べていってわかったこと。
・電源ボタンが取れた事象は海外にもある(https://sumahodigest.com/?p=13764)
・その人は外れた電源ボタンをもう一度付けて事なきを得ている。
・アマゾンその他、どのECサイトでも発売後2ヵ月のAndroidの電源ボタンを売っているところはない。
・このままジャンクとして売りに出した場合、1万円未満になると見られる。(さらにメルカリだと、どんな目的のヤツが買うかわからない)
・シャーペンなどの突起物で押せば画面のオンオフはできるため文鎮化はなさそう。
帰り道、「突起物で押せば画面のオンオフはできる」というエビデンスだけを信じて、スマホケースをメルカリで買いました。つまりこういうことです。スマホの電源キーがあった場所に突起物を差し込んで、その上からスマホケースで抑え込めば、もしかしたら爪楊枝が電源ボタンの代わりになって、通常使用できるのでは?と。
数日後、メルカリから500円のスマホケースが届きました。さっそく爪楊枝を3ミリくらいに切って削って、電源ボタンのあった場所に差し込みます。そしてその差し込んだ爪楊枝が抜けたりずれたりしないように、慎重に上からスマホケースをかぶせます。
ケースのボタン部分を押すと…なんということでしょう!画面のオンオフが、まるで電源ボタンを押すようにできるようになったではありませんか(涙)
とはいえ、匠の技を光らせたところで、爪楊枝は摩耗しますし、そのカスが本体に入り込んで悪さして、完全に壊れてしまったら、修理代4万円どころの話じゃなくなります。
そこで、中国のECサイトから電源ボタンを取り寄せられないか調べました。
さすが中国、タオバオに電源ボタンと音量ボタンのパーツがセットで売られていることが判明。パーツどころかPixelシリーズすら中国にないと思っていたのでこれはびっくり。
価格は日本円で1,754円。買付の報告がメールで来て、そのあと2,047円の送料が請求されました。合計3801円。まーこんなの、4万円の修理代に比べたらドンキもびっくりの激安価格です。
しばらくして、買ったことも忘れ始めていた、2023年の1月1日元旦。ピンポンが鳴り「郵便局でーす」。はて年賀状かしらと思ってみたら「EMSです」。郵便屋さん、お正月からありがとうございます(涙)
厳重に梱包された包みは、ニンテンドースイッチくらいのサイズでした。ハサミで開封すると、まず空気の層が現れ、次に空気の層が、また空気の層があり、最終的にスマホの電源ボタンと音量ボタンが、どんぐりの中で眠っている毛虫くらいのサイズで現れました。
こんなもののためにスイッチサイズの梱包をするなんて、タオバオ新幹線、やりおるわ!(何様)
電源ボタンをスマホの側面にあてがって、ぐっと押すと「プチッ」。…もとに戻りました!!!ぱんぱかぱーん!!!
もう絶対Pixelは買わねえ。
全く同じ状況でした。大変参考になりました!
[…] とはいえ、過去の記事で、Pixel7が買って1ヶ月で壊れたことを書いているので、油断大敵ですが。 […]