随分と期間が空いてしまいましたが、まだまだ紹介したい迷スマホはたくさんあります。
今回は、「Optimus Vu」。docomoから2012年夏に発売されたスマホで、型番は「L-06D」。Android4.0搭載でした。時代を感じますね。
この機種の売りはズバリ、
「大画面」
大画面でした。
今ではすっかりトレンドな大画面スマホ。今や5インチ超えが普通で、6インチのスマホもザラにあります。
そんな大画面スマホブームの先陣を切ったのは、2011年の秋に発売された、「ギャラクシーノート」なわけですが、遅れること10ヶ月、Samsungと同じ韓国メーカーのLGも、ドコモ向けに大画面端末を投入しました。
売り文句は、「メモがすぐ取れる5インチ大画面スマホ。」
ギャラノートの当て馬だったOptimus Vu
ライバルである初代ギャラクシーノートは5.3インチで非防水、そして「ペンが使える」ことがウリでした。
一方このOptimus Vuは5インチ。 韓国製でありながらドコモ版は防水、赤外線、NOTTV対応でした。ずいぶん当時の日本のマーケットを意識した作りなのではないでしょうか。
ええ~赤外線とか使わんだろ、とイマドキの若い人たちは思うことでしょう。
ですが実際、Optimus Vuの発売された2012年の時点ではガラケーユーザーも多く、「赤外線がないと保護者会でメアドの交換ができなくて仲間はずれにされちゃうわ!」と、幼稚園に通う子供を連れたママが赤外線搭載の機種に絞ってスマホを買いに来ていた時代でした。
使い勝手自体はよかった
しかも、Optimus Vuのメモ機能はGalaxy Noteよりも便利でした。メモ用ボタンをかちっと押せば、そのままメモモードに。スクショ画面に手書きでメモできるから快適っ!とまあ、たしかに良さげな機種でした。
向井理さんのプロモーションもよく、もしかしたらもしかするかも、Galaxy Noteにいい感じに張り合えるに違いないと期待を寄せるわけです…!圧倒的…期待…っ!
しかし迷スマホだった
そして発売日。店先に並んだOptimus Vuの模型を、多くの客が訝しげに見つめたことでしょう。
「これ、どう使うんだ…?????」
そう、僕らは大切なことを忘れてしまっていました。
画面サイズというものは、画面の対角線上の長さであらわすということを。
大画面を謳ったOptimus Vu、たしかに画面サイズは5インチですが、その画面比は「4:3」
つまりiPadなどの、タブレットと同じ画面比率だったのです。
持ちにくさがすごかった
その結果、「持ち運びには不便だし片手操作は無理、でもタブレットほどのサイズはないから、動画やWEB視聴にも不便」というどっちつかずのスマホになってました。
特に動画は、一般的に16:9の画面比率で出力されることがほとんどで、4:3の画面比率であるこの機種でも、実際の動画のサイズは4インチ台の端末とさほど変わらない。
また解像度も、当時はHD画質が限界だったことも有りさほど高くないので、細かい字を読むのに完璧とは言いがたい。
最後の希望は電子書籍。こいつは画面比率が4:3なので、引き伸ばしたり縮小されたりすることなくマンガが読めます。これに関してはなんとか、視認性をフル活用できるという強みを最大限に活かすことができ、評判も上々…
だったのですが……!
謎仕様、SD非対応。
なんと、この機種はSDカードに対応していなかったのです。
SDカード非対応は、当時も今もレア。理由は簡単、ないと不便だからです。iPhoneユーザーがデータ移行でグチグチ言うのもSDカードが刺さらないためでないかと思うくらい、SDひとつでデータ管理はぐっと楽になるんです。
そしてデータ管理よりも、おそらく当時のOptimus Vuユーザーは空き容量の確保に腐心したのではないでしょうか。
メモリとして確保できるのは、32GBのストレージ容量のうち、システムとプリインのアプリを除いた、25GBくらいのもの。当時としてはいちおう大容量の部類なのですが、写真や動画を撮影した上で電子書籍で漫画を読むのにも活用するとなると、だいぶ心もとない容量です。
電子書籍は、文字のみであればテキストのデータで済みますが、マンガや雑誌だと高解像度の画像形式となるため、データ容量は多くなります。参考までに、週刊誌一冊でだいたい200MBくらい。
文字ばかりを読むのであれば事足りますが、スマホとして必要な機能は使いつつ、漫画などをガンガン読みたい人は、素直に他のタブレットを買ったほうが幸せになれた、というわけです。
ジョジョとコラボしたよ
ちなみにカラーは黒一色のみ…とおもいきや、漫画「ジョジョの奇妙な冒険」とコラボした「JOJOモデル」なるものが有りました。こちらは白地に空条承太郎がプリントされてる限定仕様。さらにジョジョが12巻もプリインストールされているということで、限定感と容量不足にシビれる!憧れるゥ!作りになっているようです。
まとめ
とにかくまとめると、このスマホの迷要素は
・画面サイズ
・画面比率
・そのくせSD非対応
という3つに絞ることができます。
ファブレットという存在がまだ定義すらされていなかった頃に、大画面の良さを活かそうと精一杯努力した痕跡が見られる、Optimus Vu。
デュアルコアCPUに、指にしっかりついてくるチューニング、メモを一発で呼び出せるボタンと、qwerty入力しやすい画面のサイズ感。作りそのものはすごく良かったのですが、画面のアスペクト比をうまく訴求できず、さらにSDカードに対応させないという自爆装置をつけたスマホ、それがOptimus Vuでした。
かくして迷スマホは生まれるのだ、ということを悠然と物語る、Optimus Vu。
迷機であるうえに、名機なのです。はい。