「2019年は副業元年だーーー」
確かに、19年は副業元年だったかもしれません。しかし、シェアエコの時代が訪れる一方で、2020年になって以降、副業にまつわるトラブルが相次いでいます。
本業に影響が出た。プラットフォーム企業の勝手な規約改定で一気に減収した。そんな声が、副業初心者から続々と上がっています。
特に問題なのが、副業初心者に対して、あまりにも低い報酬で使役しようとする発注者が増えていることです。
自分自身の体験をもとに、なるべく客観的にお伝えします。
lancersの報酬、ちゃんと支払われるのか問題。
私は転職する際に1ヶ月のブランクがあったので、ランサーズで副業をはじめました。いや厳密には2017年からやっているんだけど、再度ちゃんとやり始めたという具合です。
ランサーズの利用規約では、”本サイトは「自分自身でした約束は守る」というユーザの誠意を前提にしています。”と明記され、性善説によって運営を行うことが前提になっています。
しかし性悪な人は一定数いるようで、ランサーズでライティング案件の応募者に対して「続きはチャットワークでお話しませんか?」とチャットワークに誘導し、そこで案件を改めて依頼、納品された記事を受け取って報酬を払わず雲隠れ…なんて事例もあれば、
「メディアのディレクター募集!」
と堂々と募集をかけ、応募者に対しZOOMに誘導、そこで「ディレクターをするノウハウを伝授するから有料会員になれ!ディレクターになれば儲かるぞ」と、マルチビジネスまがいに勧誘する輩もおり。
あるいは、依頼者が「テスト」と称して文字単価0.2円(!)でライターを買いたたき、納品したら「テスト不合格。でも記事はサイトに載せたから。あ、著作権は弊社持ちね!」が平然とまかり通るなんてこともあり。。。
わたしゃすっかり、ランサーズが嫌いになりました。今では、ちゃんとお取引をしていただける方からのみ受注をしております。
ランサーズ公式の依頼ですら「文字単価0.3円」
更に、ランサーズが自社で結成した「クーリエ」というチームがありまして、ここに私は参加しました。
クーリエってなんじゃらほい、と思って調べると、外交業務における国際郵便の呼び名のようで、IT企業らしいかっこいい名付けだなあ…とぼんやり関心をしておりました。
そこは、「求人広告の作成」という名目で募集をかけており、前職で求人広告を作っていた自分にぴったりだ!とウキウキ応募。
しかしこれが地獄でした。
深夜に鳴り響くスラックの通知
求人広告の作成といえども、その正体は「インディード」や「ジョブメドレー」などの求人広告をコピペ、大本にバレない程度に書き換えて400文字程度で納品する、という単純作業でした。
lancersのコメント欄でやりとりをして、チャットワークを案内されました。そしてチャットワーク上でなぜか「続きはSlackでやりとりしましょう」と、Slackのチャットグループ的なものに誘われたのです。
そして、Slack上にアップされているマニュアルデータをもとに、求人広告のコピペを行っていきます。400文字で120円。文字単価は0.3円ですが、まあコピペならいいか、と作業を進めていきました。
当初期はシステム上で校閲をしてくれるので楽だったのですが…だんだんとシステム上で弾ききれない修正が降ってきます。
たとえば、毎週10本、というように依頼をこなしていくのですが、「2本目と3本目の構成が同じなので治してください、コピペがバレるので」「表現が気に入らないので治してください」「納品されたテキストが単調なので治してください」
と、マニュアルにない修正が次から次へと降ってきます。
しかも、普段寝ている22時とか23時に平気でスラックを送ってくる。ベッドに入って、さあ寝るか、というタイミングで、
ピロン「差し戻しが発生しているんで対応お願いします」
ピロン「コメント欄を見て確認が…」
ピロン「今月分の納品はいつになりますか?」
寝させろ。
120円のためにストレスを抱え、睡眠時間を削る日々
だったらやめればいいじゃん、というのがマトモな意見だと思われます。しかし私は、やめるのに3ヶ月を要しました。
理由は評価制度。
ランサーズに紐付いた評価制度があり、問題が起これば、発注者はいくらでもライターにクレームを付けることができます。
お金のやりとりをする以上、信用が第一。評価を下げられないように、常にイエスマンでいる必要があります。
これが、Noと言いたくても言えない仕組みを生み出し、なにか問題を起こせば信用を失い、信用を失えば副業を続けることすら難しくなる、といったスパイラルに。
さらに業務内容はNDA(秘密保持契約)を交わすことが多く、こんな馬鹿げた現実が横行していることを批判する人は誰もいません。
目には目を、バカにはバカを。私は「認定ランサー」として毎月数万円をランサーズから頂いている身ではありますが、実際に起きていることをこの記事に書かせていただきました。
「クラウドソーシング」や「シェアエコ」を貧困ビジネスにしてはならない
この経験から得られた教訓はひとつ。それは、「シェアエコ」とはプラットフォーマーが儲かる仕組みだということ。
シェアエコの時代、つまりこれからの時代、利用者と雇用者の格差はどんどんと広がる。一億総中流なんて死語になる。
さらにそこへ、「副業」というトレンドがくっつく。副業なら労働基準法にひっかからないので、「クラウドソーシング」も、案件を引き受けられる人材が多い背景を良いことに、案件の単価は徐々に下落しています。
メディアがこぞって副業を推奨しているのも、副業が「人材不足」と「人件費高騰」を同時に解決できる手段だからなのではないでしょうか。
さらに、副業プレイヤーが今後も増えていくことを考えると、ライターの買いたたきは当面続くでしょう。「ライターの最低文字単価を1円に!」と叫んでも、この世に1人でも「文字単価0.9円でもいいよ~」「俺は0.8でもいい~」という人が居続ける限り、依頼者の人件費に対する意識は低いまま変わりません。
今後、副業が健全なもので有り続けるためにも、プラットフォーマーが「文字単価1円未満は禁止」そんなルールをあたりまえにすることが、大事なのかもしれません。