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三重県桑名市!三岐鉄道北勢線 旅行記。

三岐鉄道北勢線を久しぶりに訪問しました。その時の記録です。




三岐鉄道の時間は、現実の時間に比べゆっくりゆっくり流れる。

桑名駅のはずれ、

バスがひっきりなしにやってくるロータリーのそばに、

三岐鉄道・西桑名駅が佇んでいる。

駅に入ると、

次に発車する列車の行き先を、

行灯を使って示す看板が目に入る。

少し進むと、

右側に「阿下喜」と書かれた小さな電車が静かに留まっているのを見つける。


切符を買おうとして、

入口横の、少しホコリの被ったポンコツ券売機で切符を買う。

すると、突然券売機からアラートがなった。

何事か、とオロオロしていると、駅員が飄々と駅員室から歩いてきた。

何食わぬ顔をして、目的地を聞いてくる。

そしてまた駅員室へ戻り、券売機をゴソゴソやる。

耳を澄ますと、「また詰まっちゃったよ」と笑う声が聞こえる。


三岐鉄道の小さな車内にかがみながら乗り込むと、

自分のすぐ上に天井がある。

背伸びすれば届きそうな高さなので、

まるで自分が巨人になったかのように感じる。

路線バスのような椅子が左右に一つずつならび、つり革がそれに従って並んでいる。

「座席はゆずりあっておすわりください」の表示も、

開くことのできる古臭い窓も、ドアもブラインドも、

シミがついて古びている。

電車はなんの音も立てず、西桑名駅で佇んでいた。

今まで何人の客を、こうやって迎えたんだろう。

そして何人の客を見送っていったんだろう。

三岐鉄道のボロの電車の汚れが、無言でそのことを語っているような気がした。


発車二分前にようやく運転士が一人だけやってくる。

シュー、シューとブレーキの塩梅を確認して、すぐに発車のブザーを鳴らす。

ブレーキの空気がぬける。

突然、

ご、ご、ご、

と背中を押される。

小さな電車に似合わないくらい大きな音で釣りかけ駆動のモーターを轟かせ、

駅を離れる。

家と家、木と木の間を申し訳なさそうにすり抜けて走る。

速度は非常にゆっくりだ。そ

れでも、電車は、客にウォークマンなど聞かせるか、俺の音を聞け、

と言わんばかりにモーターを唸らせる。

線路はやわく、電車は左右に大きく揺れる。


突然、急ブレーキがかかる。

運転士がガンガン警笛を鳴らす。

線路に人か動物かが入っていたのだろう。

しかし、運転席の扉の後ろでは、慌てふためく人も驚く人もいない。

そんなことより、今日は日曜日だよ。なにしよっか。どこへ行こうか。

そんな会話が聞こえてくる。


しばらくして、駅に滑り込む。

マラソンで長い距離を走ったあとのように電車がくたびれて、

シューッ、と音を立てる。

まだ、目的地は遠い。

唸るモーターの音と、電車の気持ちいい揺れに身を任せて、

すこし壁に寄りかかってみる。

三岐鉄道は黄色い車体を輝かせながら、ゆっくりと走っていく。

釣りかけ駆動のモーターの音が響く車内は、現実と違う時間が流れている。

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山内淳史 Atsushi Yamauchi

1995年愛知県生まれ。大学時代に先輩に騙されて入った携帯屋のアルバイトでスマートフォンの魅力を知る。 機種の外観だけでスマホのメーカーと型番がわかるようになった頃、旅行にハマり、アルバイトの収入の大半を旅行につぎ込むようになる。おかげで日本中の人と地元トークができるようになり、その謎知識から現在の職場では営業先の地方にいるお客様を不必要にビビらせている。 ブログ歴は8年。現在のブログは3代目。 「手のかかるロビンソンだなぁ」(isuta1205.com)のほかに寄稿多数。 「KOKACARE」(http://healthcare.halfmoon.jp/blog/) 「EDIT知多半島」(http://chitahantou.net/)など。

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